世界一わかりやすい企画書の書き方⑦【最終回】〜 企画書とは、Will(意思)の設計書である 〜

これまで6回に渡って、企画書の書き方をお伝えしてきた。
今回が最終回である。

プロジェクト管理業務で、それなりの組織で契約をいただくようになり、いくつもプロジェクトを構築・運営する立場になった。そこで様々な案件の企画をレビューするようになった。また、小さな案件まで含めるとこれまで25年以上にわたり、50以上の案件に携わってきた。
ここには、そこで得た気づきをここで記載させていただいた。
そんな中で、企画を作る上で最も重要なことは何かと問われたら、一番大切なことはWill(意思)である。

人を動かすツール

私は正社員として働いた経験は、大学を出て新入社員として入ったシステム開発会社で3年3ヶ月しかない。それ以降は、派遣社員や個人事業主を経て、中小企業診断士を取って、会社を建てて今に至る。そうしたキャリアを歩んできたことに後悔はないが、唯一デメリットだったなと感じるのは、当事者として組織を動かす経験がないという点だ。

企画書とは、人を動かすツールである。

組織の人・物・金・情報などのリソースを使って、今ここにないものを創造する。
もちろん、組織である以上、

  • その理念やビジョンに反していないこと。
  • 売上や利益、シェア、良い評判などのメリットを組織にもたらすこと。

などの条件はあるが、逆に言うとこの条件をクリアしているのであれば、自分の思いを実現する手段ともなり得る。
だからこそ、言われたから「やる」ではいけない。一番大事なのは「やりたい」という気持ち。当事者意識である。
もちろん、一番重要なのはWill(意思)と言っても、Will(意思)だけあればいいというわけではない。CAN(できること)、MUST(やらなければいけないこと)を前提とした上で、組織のリソースを動かす為のお作法は守る必要はある。

だが、まだ見ぬ未来を創造したいという意思は、企画とそれに続くプロジェクトをやり抜く為のエネルギーの源であり、エンジンである。

企画書とは、Will(意思)の設計書である

そもそも、何故こんな記事を書いたのか?
これからの時代、そしてこれからの日本で、価値を創造することがもっとも重要になるからだ。

技術の発展により、人がやっていた作業はどんどんと機械に置き換わっていく。これまでは反復性の高い単純作業がその対象だった。だが、これからは複雑な思考を必要とするバックヤードの作業までAIが進出してくるようになるだろう。そんな中で、必要とされるのは、人しかできないことである。例えば、それは音楽・芸術であったり、意思決定だったり、コミュニケーションである。
機械はその一部を代替することがあっても、Will(意思)そのものを持つことはできない。

企画書とは、人が仕事を創造する、Will(意思)の設計書である。

日本人が得意とした品質の高い製品は、工業やテクノロジーの発展により、代替されてしまった。特に失われた30年を経て今の日本は、人口縮小によりさらに経済が縮小していくことだろう。そんな中で日本が世界に向けて価値を提供するためには、創造性を高めていくほかない。
アニメや漫画、ラーメン、そして伝統と新しいテクノロジーが共存できるような国。私は日本には非常に高い創造性が備わっていると思う。

ただ、なぜか組織になると途端に創造性が失われてしまう。
今までそうだったからという理由で続けられる習慣、今まで前例がないからという理由で拒否される新しい試み。組織の壁と言うのかもしれないが、結局のところ、頭を使うのが面倒なだけだ。
アメリカや中国、韓国はいろんな矛盾を抱えた国だ。批判すべきことも多いだろう。だが、少なくとも前例がどうだからという発想はない。グローバルな市場を見据え、知恵を絞りながら、しっかりと汗をかいて経済を活動させている。

そんな中で日本が生き残るためには、他ではできない創造性を発揮する必要がある。
これからの時代、それができる人材こそが求められるようになる。

やりたいことを信じてほしい。
その為の説得力を身につけてほしい。