経営から見たシステム導入工程(プロセス)2:企画・検討、要件定義

 この記事を書いているのは3/31(日)お昼なので、このブログを公開している明日の今頃には新元号が発表されていることだろう。「平成」発表の時も、「平成って・・・」などと街の声が溢れていたので、多分同じような微妙な反応が流れていることだろう。
 さて、今回からは、家のリフォーム(改築)に置き換えて、システム導入の工程のうち、「企画・検討」と「要件定義」を説明していこう。

企画・検討

 なぜ、リフォーム(改築)しなければいけないのかは理由は様々である。単に古くなったからイケてないので建て直したいかもしれないし、ALL電化にして光熱費を下げたい、あるいはそろそろおじいちゃんとおばあちゃんの足腰が弱ってきたのでバリアフリーにしたいのかもしれない。
 システムの更新も、耐用年数が過ぎていけてない、もっと効率的にしてコストを下げたい、他のシステムと連携させたいとか、理由は様々だ。様々だが、なんとなくやらなければいけないことが出てきた状態である。
 こうした中で、リフォーム(システム業界でいうところのリニューアル)が「企画」される。だが、企画されただけですぐ、お金を出すかというとそうはいかない。まずはざっくりでも費用を見積もり、投資するだけの効果があるのかを「検討」する。また、大抵の場合、やりたいことは一つではない。お母さんが、もっと水回りを綺麗にしたいと思っているかもしれないし、今なら耐震構造の強化に補助金が出るかもしれない。内部や外部の要因で様々な「企画」が同時並行的に生まれてくるものである。投資対効果を検討するだけでなく、他の企画との優先度や実施時期なども同時に「検討」していく。
 こうして、お金をかけてまで必要なのか、いくらまでならやってもいいかなどを分析し、「やる」のか「やらない」を判定する。そして「やる」のであれば、優先度、大まかな時期を決めるのが「企画・検討」工程の役割である。
 ちなみに、この工程での登場人物は、あくまで家の人(=ユーザー企業)だ。

要件定義

 さて、「企画・検討」工程が「何故」やるのかを決める工程だとすると、要件定義は「何」をやるかを決める工程だ。
 もちろん、「企画・検討」でも何をやるかは考えているが、これはあくまでもざっくりイメージでしかない。家の人がバリアフリーにしたいねと言った時に、「段差を無くそう」、「手摺りをつけよう」、「お風呂に床暖房入れよう」とか、そんなレベルでしかない。「それだけ決まれば十分。あとはよろしく」と思うかもしれないが、実現するための作業や物には一つ一つ値段がある。段差をなくすこと一つとっても、玄関だけでいいのか、1階だけやればいいのか、2階も及ぶのかなどその範囲によって費用は変わってくるし、範囲が同じでも使う技術や材質によってまた金額は変わってくる。費用と品質との間にはトレードオフが発生するし、その調整を行った結果として当初やりたかったことが実現できるのかなども評価しないといけない。
 「要件定義」というと言葉が難しいが、要するにやりたいこと(=要件)を品質・費用・納期とにらめっこしながら一つ一つ決めていく(=定義)する、ということなのだ。
 この工程での登場人物は、家の人(=ユーザー企業)とリフォーム会社(=ITベンダー)である。