経営から見たシステム導入工程(プロセス)3:設計&開発、テスト
先週のブログ記載時点では元号は不明だったが、「令和」とのこと。平成の時は微妙な反応が多かったが、今回は割と好意的な意見が多い。客観的には、日本の歴史上もっとも繁栄した時代から駆け下りたような時代なのかもしれないが、浮ついた時代が終わり、人が謙虚にならざるを得なかったという意味で、悪い時代でもなかったように思う。
設計&開発
要件定義が完了すると、見積もり(費用)が確定する。
あとは、具体的に設計図を描き(=設計)、その設計図にもとずいて工事を施工(=開発)していく。
家の人(発注者)は基本的には待っていればいいが、作っているのはあくまでも側(がわ)だけなので、リフォーム完了後の物の配置や人の動きなどをイメージしておく。こうした作業をしていくと、当初想定もしなかったような問題に気付く場合がある。せっかくバリアフリーにしたのにそもそも扉が車椅子が通れるだけの幅になっていなかったとか、見積もりが確定した後に大なり小なり問題が出てくるのである。
家の人からすれば、プロなんだからあらかじめ気づいて提示してくれよと文句を言いたくなるところもあるが、「車椅子が入るなんて、聞いていないですし…」で終わってしまう。そして、家の人もあまりに当然過ぎて、確かに言ってないのである。
システムでもこれと同じことが起こる。
新システムを使うための役割分担を決めたり、マニュアルを作ったりとか、そのための広報をしたりとか、そんな作業を行い、担当が自分の仕事を具体的に理解を深めると、当初想定もしなかったような問題が見えてくる。やり取りするのも面倒なような細かい内容は開発会社が吸収してくれることもなくはないが、大抵の場合、「仕様変更」となって追加工数を要求される。
こうして関係者はみんな上流工程やコミュニケーションの大切さを噛み締めるのだが、大抵、喉物過ぎれば暑さ忘れる・・・で、噛み締めて終わる場合も多い。
この工程での登場人物は、家の人(=ユーザー企業)、リフォーム会社(=ITベンダー)および建築会社(=開発会社)である。
テスト
施工が終わったら、作ったものが仕様通りかをテストする。
このチェックは、施工会社と家の人の両方が行う。
結果として同じようなチェックをすることになる場合が多いが、施工会社は設計図の通りか、家の人は実際使う立場で想定通りに動けるのかを確認していく。
ここでは普通のミスは少なくなり、現実にできあがったが故に解釈の違いや要求通りだが運用としてまずいものが出てくる。
例えば、家の人が「立たないでも手の届く高さに部屋灯の電源スイッチを設置すること」のような要求をして、施工会社が「じゃぁ100cmくらいの高さにしましょう〜」と提案する。実際にその通りになっているのだが、家の人が要求したのが、和室で寝るおじいちゃんおばあちゃんが手の届く高さをイメージをし、施工会社はベットから届く高さをイメージをしているなどがある。施工会社からすれば具体的な数値としても示しているので要求通りと思うが、家の人にとっては施工会社が(和室でも)手の届くというのが100cmと判断して提案したのがミスであり、確認不足という風にも見える。
リフォームの例だと途中で気づきそうなものだが、これがシステムともなるとユーザー企業が伝えた要求とITベンダーが伝えた仕様が言葉としては正しくても、その意味を理解していないか、解釈が違うということはままあることである。
当然のことながらここまでくると修繕したくてもできない場合が多い。
こうした場合、大抵運用で回避することが多い。
本当は単体テスト、結合テスト、システムテスト、負荷テストなどテストには様々あるが、経営サイドから見た風景としてはこうした内容が押さえられていれば良いかと思う。