「商工会」と「商工会議所」(その2)


地域の総合病院

商工会・商工会議所がどんなことをやっているのかを一言で説明するのは難しい。
前回、地域の総合病院と説明した通りで、経営に関することならなんでもやっているからだ。また何でもといいつつ、地域や規模によってやっていたり、いなかったりする事業もあり、それぞれで差もある。細かい内容に関しては、日本商工会議所の「商工会議所のヒミツ」 がわかりやすい。

経営改善普及事業

さて、今回は、「経営改善普及事業」について紹介しよう。
「経営改善普及事業」は、(主に小規模事業者の)経営を改善するための事業である。
「普及」という言葉が着くのは、自営業者など財務も税務も労務もほぼ全て経営者自身がやらなければいけない中で、経営のいろはを広めていくという意味があるからなのだろう。

経営指導員

具体的に何をしているかというと、経営指導員を配置して企業の面倒を見るようにしている。
経営指導員は、経営のホームドクターと言われ、経営に関する相談をまず一番最初に引き受けてくれる窓口的な役割を持っている。自分で処理できるレベルのものは処理するし、難しいようであれば専門家やノウハウを持った専門機関を紹介してくれる。

ちなみに「商工会」の経営指導員は、ある一定の地理的範囲内で3〜5年の範囲で異動する。「商工会」は建物が小さめでこじんまりして見えるが、商工会連合会の単位で見るとなかなか広い地域をカバーしていると言える。

「商工会」と「商工会議所」をどちらを選べばいいか悩むかもしれないが、エリアの重複はないので自分の事業所があるところの「商工会・商工会議所」を選べばいい。別に法律で管轄が強制されるわけではないので隣町の商工会に行ってもいいし、公的な税金も入っているため、会員にならなくても相談は受け付けてくれる。
もちろん勧誘はされる。会費は、商工会・商工会議所毎に異なり、事業規模などよっても変わる。会費さえ払えば、複数の商工会・商工会議所に重複登録もできる。
創業時はなかなか法人口座を作ることに苦労することもあるが、会員になっていると経営指導員から直接地域の信用金庫などの担当者を紹介してもらえ、スムーズに口座を開設できたりもする場合もあるようだ。

経営指導員はセミナーの企画なども実施している。
事業者を取り巻く環境変化に合わせて押さえておくべきことを地域の企業へお知らせする。最近で言えばインバウンドの成功事例や消費税アップに伴う軽減税率などである。

という感じで、経営指導員が核となって、全般的に経営の支援をしてくれるのが、「経営改善普及事業」である。