「商工会」と「商工会議所」(その3)

商工会・商工会議所は、具体的なお金の相談にも乗ってくれる。
今回は、「マル経融資」と「補助金」に関して触れていこう。

マル経融資

正式名称は「小規模事業者経営改善資金」というのだが、何故「マル経」なのかというと、昔、申請書に記載されていた、経営の「経」の字を丸(マル)で囲んでいたからだと言われている。(探してみたが画像が見当たらないので確証はない。)

この記事を書いている2018年1月現在では、最大2000万円が保証人・担保が不要で借りられる。利率は変動金利で、かつ担保の有無や条件によって変わってくるが、概ね1~2%前後で借り入れが可能である。(詳しくはこちら

融資の実施主体は日本政策金融公庫である。
保証人・担保も不要でお金が借りられるなんて夢のような話だが、よくよく見ると保証人欄に「ご利用にあたっては商工会議所会頭、商工会会長等の推薦が必要です」と書いている。
この「推薦」の条件が何かというと、

  • 直近1年以上、商工会議所(or商工会)地区内で事業を行っていること
  • 商工会議所(or商工会)の経営・金融に関する指導を原則6ヵ月以上受け、事業改善に取り組んでいること
  • 税金(所得税、法人税、事業税、都道府県民税等)を完納していること

である。要は事業をしている地区で1年以上事業を営み、その地区の経営指導員に半年以上経営指導をしてもらう必要がある。(あとは、小規模事業者であること。) 前回、商工会・商工会議所は入りたいところに入れるとは書いたが、やはり地元の商工会・商工会議所に所属する方がメリットが大きい。また、経営指導を受ければ誰でも金を貸してくれる訳ではなく、商工会・商工会議所内部の融資審査会での審査も必要になる点も意識しておく。

経営指導なんて面倒と思うかもしれないが、経験豊富な経営指導員がコンサルティングをしてくれる上にお金まで借りやすくなると考えればかなりお得な制度である。特に「マル経融資」の歴史は古く(昭和48年〜)は、経営の現場を知る商工会・商工会議所の政策提言活動によって効果的に磨き込まれてきた制度であり、かなり使い勝手が良い制度なのである。

補助金

補助金は返す必要のないお金である。(元は税金なので利益が出たら返すのが建前なのだが、趣旨から外れるのでここでは割愛する。)

補助金は、各省庁・自治体に割り当てられた予算が原資となり、その省庁や自治体がその時に認識する課題に沿ってスキームが作られ、分配される。商工会も商工会議所も元を辿れば経済産業省の管轄なので、経済産業省が管轄する補助金の情報が「商工会・商工会議所」に集まることになる。最近で言えば、「モノ作り補助金」や「小規模事業者持続化補助金」「IT導入補助金」などがある。変な話、一度ついた予算は確実に消化しなければいけないのが役所の掟なので、商工会も商工会議所などもその推進に協力をするのだ。

申請から採択・受領までにはそれなりの期間と面倒な手続きが必要となるが、いつどんな補助金がどのように利用できるかなどは、商工会・商工会議所を利用していると入って来やすくなるので、補助金情報の収集の場としても考えることができるのである。