WEB集客をする前に考えておかなければいけない事②〜3つの領域〜

前回は、WEB集客をするのにまずは目的(何故)・ターゲット(誰に)・伝えるべき事(何を)を明確にした上で、手段を決める必要があるという点を説明した。また、一口に集客と言っても、「知名度をあげる事」「集客する事」「売上を上げる」事はそれぞれやるべき事が異なるという点も触れた。これらは 知名度 < 集客 < 売上 の順で、難易度が高くなる。やはり、身銭を切ってもらうというのが一番難しい。

今日は、WEB集客をする前にプロセスに関して考えておかなければならない点をお伝えする。

マーケティングの大原則

マーケティングには以下の大原則がある。

売上の8割は2割の顧客から生まれる(パレートの法則)
新規顧客を獲得するコストは、既存顧客を維持するコストの5倍かかる(1:5の法則)

この原則の意味するところは、単に人を集めるだけでなく、いかに「顧客を定着させるか」「リピーターにするか」が重要であるということだ。YouTubeやInstagramなどダイナミックで華やかなマーケティングに憧れる気持ちも分からなくもないが、まずは目の前の顧客を大切にすることが重要になる。

ちなみにYouTuberと言われる人たちの広告収入は、2020年1月現在、1再生回数あたり0.05~0.5円くらいと言われており、100万回再生されると5〜50万円くらい入ってくる計算になる。集客自体が売上になり、極端な話炎上しても再生回数が稼げれば収益を生むため、悪目立ちする馬鹿を量産する構造にもなっている。

しかしながら、事業者にとっての収入はモノやサービスを販売するところから生まれるので、どのように「知ってもらい」→「集まってもらい」→「買ってもらうか」、また一度買ってもらったらその顧客をどのように維持して行くのかをしっかりと設計しなければいけない。

WEB集客を構成する3つの領域

WEB集客というとインターネット上で全て完結するように思えるが、実際のマーケティングでは実店舗へ誘導する必要性がある場面も多い。昔の言葉で言えば「クリック&モルタル戦略」、今時の言葉で言えば「O2O戦略」(「Online to Offline」または「Offline to Online」の略)のように、リアルとバーチャルの世界を跨いで集客して行く考え方である。

ただ、ここでは更に細分化して、

①集客領域(Online)
②交流領域(Online)
③現実領域(Offline)

の3つに分けたい。

Onlineを2つに分けたのは、同じインターネット上にあっても他社サイトのように自分でコントロールできない領域と自社サイトやSNSの自社ページのようにコントロールできる領域でアプローチの仕方が異なるからだ。ただこれはデジタルマーケティングの一般的な考え方と言うより、マーケティングの流れを説明するために、このブログが独自に分けていると言う点はお断りしておく。

収集/蓄積/発信

情報を収集する

「集客領域」とは具体的には、他社サイトやGoogleやYahoo!のような検索サイトを指す。FacebookなどのSNSも自ページ以外は集客領域となる。自分が投稿したりカスタマイズできない領域は全て集客領域と言っていい。ここに広告を出したり、あるいは検索上位にするためのSEO対策を打ち、自分のコントロールできる領域へ誘導して行くのがまずは第一段階の目標になる。

「交流領域」は、自社サイトやSNSの自社ページ、ネットモール出店しているならその店舗ページになる。何かを知ってもらうなり、人を集めるなり、情報を交換するなりするので、自分と顧客が交流するための領域になる。ネットショップの場合はそのまま商品を紹介して購入することになるが、例えば自店舗に誘導したいとか、イベントに人を呼びたい場合などはその告知や申し込みの受付、店舗までのアクセス方法を伝達するような場が「交流領域」である。

そして最後は「現実領域」だが、店舗・本社・工場などリアルに存在する場所を示す。
ここは、販売店舗だけでなく、「面談に来てもらう」とか「説明会に来場してもらう」とか「取引業者を誘導する」とか様々な目的でたどり着いてもらう場を想像していただきたい。

情報を蓄積する

この「集客領域」→「交流領域」→「現実領域」の流れは、人の流れだけではなく情報の流れにもなる。
人の情報は最終的に顧客データベース(=顧客DB)へ収集する。

顧客データベースと書くと何か難しいことを書いているように見えるが、要は顧客名簿でありあまり難しいく考える必要はない。Excelで作ってもいいし、手書きでもいい。顧客の名前、性別、住所、年齢(大体)、連絡先(メアド、LineID、Facebook ID)などは最低限の項目は欲しい。これに加えて職業や過去にどんな商品を購入したか、などが結びつけば尚いい。

情報を発信する

顧客情報を収集できたら、今度は情報を発信する。
そして発信の時に、その顧客に合わせた情報の発信の仕方を選ぶ。そのお客が何故自分の店を利用したのかを分析し、顧客を層別に分類し、そのニーズにあった商品情報を提供して行く。
図ではメールになっているが、今ならLineでの発信の仕方もあるし、TwitterやSNSで発信する方法もある。

プロセスを設計する

冒頭で書いたように、「売上の8割は2割の顧客から生まれる」ため、いかに顧客を定着させるかが要点となる。そのため、継続的な関係性の強化して行く。
これが「情報を収集」→「蓄積し」→「発信する」プロセスになる。

WEB集客がうまくいかないのは、誰かれ区別なく一方的に自分の思いだけを発信している場合が多い。
また、目新しい手段に飛び付いたり、同業他社もやっていますよと言う甘い言葉に踊らされる場合もある。もちろん営業マンが言うような成功事例もあるのだろうが、成功した背景やプロセスが語られる事は少ない。
しかし、全く同じお店でも駅一つ変われば、その店舗にあったマーケティングプロセスは違うものになる。

もし、WEB集客の効果が出ないのであれば、情報の収集に問題があるのか、蓄積の仕方に問題があるのか、発信の仕方に問題があるのか、自社のマーケティングプロセスを注意深く見直そう。