「マーケティング」に身悶える:他人は自分ではない

価値と集客は別の話である

ちょうどこの記事を書いているタイミングで「【2020年01月12日(日)】士業として知っておきたい不動産の基礎知識」の集客をしている。

既に講師の先生からは以前使用したレジュメの方を頂いている。

不動産投資ではへぇ、利回りをこんな風に考えるのか。
一言で不動産といってもスタンスによって大分やることは変わるんだな。
工法や材質でお金の借り方がこんなに違うんだ。

・・・など、いろいろな発見があって単純に面白い。
こんな面白い内容なら来てくれた人もきっと喜んでくれるのは間違いないし、純粋にこの面白さを伝えたいとは思うが、いくら内容が良くてもお客さんが来てくれるかどうかはまた別の話である。

そこで必要なのがマーケティングの考え方である。

集客方針と磨き込み

今回のセミナーでは、

・ 士業として経営基盤を強化したい
・ 士業として不動産取引の知識を得たい
・ 収入のポートフォリオの一つとして不動産経営を考えたい

人たちに向けて宣伝をしている。
宣伝の方針としては

① 届く母数を大きくすること
② 定期的に記事を上げて継続的に認知してもらうこと
③ いろんな角度から刺さるようにテーマを伝えていくこと
④ 顧客の段階によりアクセスの仕方を変えること

などを意識して集客している。

が、これが結構なかなか難儀なものだ。

①と②は単純に動き方の問題でやるかやらないかしかないが、③は理屈の上では分かっていてもどう動けば、そのテーマが刺さっているのかが分からない。「このテーマ、あなたに刺さっていますか?」を聞いて回るわけには行かないし、聞けたとしても悪いことは伝えにくいので善意のバイアスがかかる可能性が高い。
④に関しても、理論的には顧客の関心の度合いを徐々に強めて最終的に成約に至るように頑張るのだが、そもそも顧客の関心の度合いが今どの辺なのかを、どう判断すれば良いのかが難しいところだ。

WEBの世界ではページビュー数、セッション数、滞在時間などを元に全体としてエンゲージメント(関心の度合い)を測ることはできるが、営業が顧客別にヨミを一つずつ上げていくようにはできない。

結局の所、マーケティングは大枠の理論があるだけで、現場では仮説を立て、結果が出てから何が刺さったのかをアンケートなどで検証し、繰り返し繰り返し磨き込んでいくしかないようだ。
ここら辺はマーケティングの初心者である自分としては難しいところだ。
そういう意味では、一度だけで集客に成果を得ようとするのはおこがましい話で、初めて集客するときはどんな事が人に刺さるのか、できる限りの手を打ってみる事が必要なのかもしれない。

他人は自分ではない

今回の集客をしてわかったこと。

人の本質として、自分の感じている世界を他人も感じていると思いがちである。
理屈の上では自分と他人は違うのだと分かっていても、色盲の人が他人の見えている色を想像できないのと同じように、人間は自分の主観を通してしか世界を理解できない。
その点、マーケティングは客観的なデータや統計的な手法を用いて今どこにニーズがあるのかを探ることで、常に他者を発見しにいく努力をしているようにも見える。

本当はいいものを作ったらもっと知ってほしいし、その価値に共感してほしい。
だが、何らかの価値のある商品を作ってもそれだけで価値があるとはしない。受け入れられて初めて価値をもつと言うふうに考える。
良いものを作れば売れるという幻想をもたない。
相手がそのことに価値を感じてくれないとしても、それを責めることしない。
単純に興味がないかもしれないし、興味があっても優先度が異なるかもしれない。
たまたま、タイミングが合わなかったのかもしれない。

マーケティングは「他人は自分ではない」事を前提にしている。
その上でどう伝えるか、どう人を動かすのかを考える。
本当はもっとガツガツと他人を引っ張り込むくらいのことが必要なのかもしれないが、喉の乾いていない馬に無理やり水を飲ませることはできない。
故に、マーケティングに身悶えるのである。

今回のセミナーの面白さにみんな気づいてくれますように。