クレジットカードの仕組みと選び方①〜国際ブランドとアクワイアラとイシュアーと提携会社

電子マネーやQRコード決済と比べると枯れたサービスではあるものの、クレジットカードは全世界的には現在最も使われているキャッシュレス手段である。
経営とは直接関係はないが、クレジットカードの仕組みや選び方に関して常識として知っておいていいだろう。

国際ブランドはクレジットカードの起点である

国際ブランドは大きく7つある。表には5つしか載せていない(…この他にDinners ClubやDiscoverなどがある)が、ここでは各ブランドの違いを説明したいのではなく、無数に存在するクレジットカードの起点がまず、国際ブランドであるという事を伝えたい。

国際ブランドが何をやっているかというと「決済機能」を担っている。

消費者がカードを使って商品を購入した場合、加盟店に対しては一括で費用を立て替え、消費者に対しては、ひと月後にその費用を口座から引き落とす。これを国境超えて担保しているのが「国際ブランド」である。例えば「VISA」マークがつくカードを持っていれば、アメリカだろうが、欧州だろうが、アフリカだろうが決済してくれるのである。

加盟店管理会社(アクワイアラ)とカード発行会社(イシュアー)

しかし、「決済機能」さえあればクレジットカード成り立ってくれるかというと、そう単純にはいかない。一方では加盟店を集めて管理しなければいけないし、一方では消費者にカードを持ってもらわないといけない。

このうち、加盟店の開拓と契約、そして契約後はその管理を担っているのが加盟店管理会社(アクワイアラ)である。そんなの「国際ブランド」が自分で担えばいいじゃないかと思われるかもしれないが、「国際ブランド」は色んな国に進出する特性上、法制度も商習慣も違う各国でいちいちその国の事情に合わせて加盟店を開拓するのは現実的ではない。自社でやる場合もあるかもしれないが、基本的には別会社化して実施する。これが「加盟店管理会社(アクワイアラ)」である。

カード発行会社も同じで、こちらは加盟店ではなく消費者に対して、入会審査やカードの発行、請求書発行&回収業務など、顧客管理を担当している。日本では、銀行・信販会社が中核となることが多い。面白いのは、カード発行会社はあくまで別会社なので、一社で複数ブランド取扱う場合もあるということ。例えばセゾンカードと一言で言っても「VISA」のセゾンカードや「Amex」のセゾンカードがあったりする。

各カード発行会社(イシュアー)がどの国際ブランドと契約するかにもよるが、これで何故世の中に色んなカードが存在するのか、その一部が見えてきただろう。

ちなみに、日本では、加盟店管理会社(アクワイアラ)とカード発行会社(イシュアー)が同じ会社が受け持っている場合も多い。考えてみれば、銀行や信販会社の顧客は消費者としての預金者だけではなく、事業者との貸付・与信管理業務などもあるわけで、その両者に顔が利く会社がその両方の機能を持つのは、当たり前といえば当たり前である。

提携会社

ところで世の中には各カード発行会社(イシュアー)とブランドの組み合わせ以上にカードが多数存在するのは何故だろうか?

各カード発行会社(イシュアー)には、預金口座管理やローンの取り扱い・決済不能時の回収など、金融機関でなければできないようなノウハウが沢山し、誰でも望めばなれるというものではない。
それでも、回収業務など面倒なことはしたくないけど、お客さんを呼び込んでくれるような自社ブランドのカードを発行したいというニーズは広く存在する。特に超大手の加盟店(航空会社・鉄道会社・石油会社・百貨店・コンビニ・携帯キャリアなど)は、ポイントやクーポン・その他特典などを付け、自社の商品・サービスに消費者を誘導したい。また、顧客の氏名・性別・年齢・住所・連絡先・職業などのマーケティング情報が購買情報と同時に得たいという思いもある。

こうしてカード発行会社(イシュアー)と提携して、自社ブランドのカードを発行しているのが「提携会社」である。マルイカードやルミネカードなど、百貨店が事あるごとにキャンペーンをうってカードを作らせようとするのもこうした事が背景にある。

カード発行会社(イシュアー)にとっても、必死に消費者を獲得しなくても、提携会社が必死にお客を集めてくれるわけだからWIN-WINである。

クレジットカードの仕組み

「国際ブランド」を起点とし、「カード発行会社(イシュアー)」を経由し、多数ある「提携会社」カードが自社ブランドのカードを発行する事で、世の中・・・特に日本には無数のカードが溢れる結果となっている。2017年のデータで日本はまだ、キャッシュレスの普及率が20%止まりにも関わらず、カードの保有数だけ見ると世界第2位であるのは、こうした事業構造があるためである。

この時点では、どのカードを選んでいいか分からないが、まずはその仕組みを知る事が重要である。選び方は、次回述べることにしよう。