平成30年度第2次補正予算 小規模事業者持続化補助金:昨年との違い
2019年4月25日(木)ようやく「平成30年度第2次補正予算 小規模事業者持続化補助金」の公募が開始された。
例年であれば、3月上旬には募集が開始されているところなので、およそひと月半くらいの遅れとなった。加えてこの記事が公開される4月25日時点では、「全国商工会連合会」での募集はまだのようだ。ちょっとわかりづらいが、持続化補助金は経営指導員が併せて提出する資料があり、商工会議所エリアと商工会エリアで募集の経由先が異なってくる。ただし、記載する内容は一緒なので一旦は、日本商工会議所の公募要領を参考に募集の準備を進めることはできる。
例年と比べて何故ひと月半も遅れたのか原因は定かではないが、改元の影響だとか、送金誤りが発生した影響(→どうも、多め支払ってしまったらしい)だとか、いろんな噂があるが、商工団体に問い合わせてもその辺は降りてきていないようだ。
さて、この記事では昨年、平成29年度第2次補正予算 持続化補助金との比較を行おう。
スキームについて
大枠のスキームについては昨年とほぼ変わらない。補助上限額は50万円だし、目的も「地道な販路開拓等の取り組み」や併せて行う「業務効率化(生産性向上)」である。予算規模は昨年120億円を維持または多少の上乗せがあるようだ。(※もの補助やIT補助金などが含まれる「中小企業生産性革命推進事業」として予算1100億円が確保されているのだが、その配分については情報が集めきれなかった。)
差異は以下の通り。
・事業期間が短縮化する可能性
冒頭で言ったように募集開始の時期がズレたが事業完了予定日は年末12/31のままなので、間のどこかの期間にしわ寄せがきそうだ。予算規模から審査の期間もそんなに短縮化できないため、事業期間として取れる期間が短くなる可能性がある。
・IT導入補助金との役割が明確化した
これは持続化の公募要領を見ただけではわからないが、実はIT導入補助金の上限額が50万円からA類型で150万円、B類型で450万円に変更となっている。昨年のIT導入補助金上限額50万円は持続化補助金と一緒で用途が曖昧だったが、上限額が拡大したことにより本格的なシステム導入はIT導入補助金で実施し、HPの構築などは持続化の方でという棲み分けができたようだ。(参考:「IT化」ベストな補助金の選び方 )
加点要素の変更
今回の目立つ変更は加点要素の変更部分だ。
まず変わらなかった点でいうと、「事業承継の円滑化に資する取り組み」と「買い物弱者に対する取り組み」「経営力向上計画」。
・追加「購入型クラウドファンディング」
追加された点で一番目立ったのは、「購入型クラウドファンディング」(以下CFと記載)で一定規模以上の支援金額を集めた事業者に加点要素がつくことだ。これは「(一社)日本クラウドファンディング協会」の会員が運営するCFを利用した事業者に限定される。「過去一定期間内に」という条件がつくので、応募までに実施が完了している必要がある。ただし、補助事業と関わっている必要はなく、現時点ではCFを利用した企業を持続化補助金に呼び込むと共に、来年以降を見越して「CFと言う資金調達方法も選択肢としてあるのだよ」と言うことを意識させようとしているように思われる。
・なくなった要素
「先端設備導入計画」などが加点要素から消えている。
補助金額の引き上げ要素の変更
・ 追加「認定市区町村による創業支援」
創業期の企業に対して持続化補助金の活用を促している。そもそものこの補助金の目的は普段経営計画など立てたことのない小規模事業者に、補助金をきっかけに経営計画を立てさせることであるので、創業段階から計画の重要性を認識してもらうとしているようだ。
・なくなった要素
「海外展開」「賃金引き上げ」などが条件から消えている。ここら辺は小規模事業者に求めるには少し現実的な条件ではなかったのかもしれない。
全体として簡易化
その他、細かい注意書きが増えたものの、全体としては募集条件が簡易化したような印象を持つ。
・ 小規模事業者の定義が、日本標準産業分類ではなく、実態に近いものを選択させるようになった
・ 事業承継に関して、承継計画書は不要になった
・ 例年までついていた 記入例が消えた
記入例は、公募要領からは消えたが別ファイルとしては存在している。
以上である。
注意すべきは今年の内容だけなので昨年との比較は意味がないように思えるかもしれない。それでも変化した部分を分析することにより、主催者側が何を求めているかが現れてくるように思う。そしてその意図にそう記載をするのがある種補助金を申請する上でのセオリーとなるのだ。