付加価値とは、何か?④〜自分が介在する事の意味を探る〜

正確な日時は覚えていないが、確か2010年ごろ六本木アカデミーヒルズの無料セミナーで、Francfranc創業者の髙島郁夫氏の講演を直接伺う機会があった。当時は個人事業主で仕事がない時期だったので、これからどうしようかなぁとぼーっと考えていた時期でもあった。

講演後の質疑応答で、ある受講者が「Francfrancの価値をどのように考えてビジネスを展開されていますか?」と言う質問をしていた。「価値…って、随分抽象的な質問投げかけるな、この質問者は」という印象を持ったが、髙島氏は少し考えてから、概ね次のようなことを述べられていたと記憶している。

「日常生活における、食器とかインテリアとか、本当にいいものを届けようと思うとどうしても値段が高いものしかないように感じていた。でも若い人たちは高いものには触れることもできないし、初めから興味も持たない。僕は若い人たちの日常を豊かにするために、値段はそんなに高くなくても手に入る、お洒落な食器とかインテリアを提供することをしたかった。そこがFrancfrancの持つ価値だと思っている。」

「価値」と言う言葉がビジネスを展開する人間の中では、決して曖昧な概念ではなく、一つの共通言語として成立しているのを聞いて、「へぇ〜」と感慨を持った。
経営者というのは自分が展開するビジネスの価値を追求する人種なのだな。もちろん儲けも大切なのは間違いないだろうが、必ずしも儲けばかりを考えるのがビジネスではないのだなと、当時新たな視座をえる良い機会となった。

付加価値とは何か?

付加価値とは売上高から外部購入価値を引いた値である。

付加価値(額) = 売上高 − 外部購入価値

この式には3つの意味がある。

1点目は、付加価値は何らかの外部からの価値を引き継いでいるという点。
式の上では外部購入価値0でも成り立つが、現代社会では一次産業と言えども、多かれ少なかれ何らかの物やサービスを購入しないと産業は成り立たない。

2点目は、付加価値は売上が上がらなければ成立しないという点。
売上が上がるということは、他人が必要とするものを提供しないといけない。日銀方式の付加価値の計算式をみると人件費や家賃など費用をかけると付加価値が上がるようにも見えるが、それはあくまでも売上を上げるために何にどれだけ投資をするのかという要素でしかない。よって、相手が存在しないとそこに価値は発生しないということになる。

そして最後3点目は、付加価値は売上と外部購入価値の差であり、「介在価値」と言い換えることもできるということである。何故なら、そこにあなたやあなたの会社が介在しなければ、生まれなかった価値だからだ。

言ってみると、付加価値を創出するとは、他人から価値を引き継ぎ、それを高め、その高めた価値を更に別の相手に引き継いでいく事なのである。そして、それこそが経済の本質である。

自分が介在する事の意味を探る

グローバル化によって、安い労働力に置き換えられるものはどんどんと海外へ移転していく。国内でも人がやらなくてもいい部分は今後どんどんとテクノロジーに置き換えられていく。また、今まで人しかできないと思われていた仕事の領域をAIがどんどんと侵食している。
昨日誰もが必要だと思っていたものが、今日には捨てられるような時代になりつつある。
特に誰でもできることが、急速に価値を失って行っている。

そんな時代にあって、自分の組織や自分がそこに介在することの意味は何か?
せっかく人生を与えられたのに、生きることに必死過ぎて、自分しか産めない価値を探ろうともしていないのではないか?あるいは、少しうまいこと行ったからといって、考えることをやめてしまっているのではないか?…自問自答の日々である。

これは、自分自身に課せられた課題でもある。

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