津南町商工会様「キャッシュレスセミナー」(2019年05月29日)

新潟県は、中魚沼郡の津南町商工会様で「キャッシュレスセミナー」に登壇してきた。
津南町は、越後妻有トリエンナーレで有名な「大地芸術の里」としても知られており、現代美術に造詣が深く、人も空気感もとても開放的な街である。津南町商工会ホームページ(以降、HPと記載)一つとっても、ちょっとオシャレでトキメキを感じる、素晴らしい作りをしている。商工団体のHPは、事業者の集まりという特性上どうしても硬くなりがちだが、踏み外してはいけないラインを押さえつつ、「Coe(声)」を「伝える」ということを考え、デザイナーがしっかり設計したサイトとなっている。お時間のある方はご訪問あれ。

一方、今回は、参加者の本気度が伝わってきたセミナーでもあった。
現在、国は日本のキャッシュレス普及率を2025年までに20%から40%に引き上げようとしている。そのため、「キャッシュレス・消費者還元事業」におよそ2800億円ほどの予算計上しているので、その流れの中で商工会の方にもの予算が配分されているのかと思っていたが、今回の津南町様のセミナーに関しては、会員様からキャッシュレスの事をもっと勉強したいという声が上がり、商工会独自の予算で招聘していただいたようだ。
津南町は、越後湯沢から上越線・ほくほく線・飯山線を乗り継いでたどり着く。飯山線に至ってはこの時期は5時間に一本しか電車がない。東京にいるとそんなに意識はしないが、やはり少子高齢化や過疎化に対する危機感をリアルに感じているようだ。
キャッシュレスを導入する場合のメリットよりも、導入しなかった場合のリスクをどう捉えるかなど、真剣度の高い質問をもらった。

キャッシュレスはやがて社会のインフラを変える。
技術革新というのは、出てきたときは注目され、しばらくは徐々にしか進展しない停滞の期間を迎える。別に今までなかったものだし、あえて無くても生きていけるよねと忘れたところにジワジワと広がりを見せ、ある臨界点を超えると爆発的に広がる特性を持っている。インターネット然り、携帯電話然り、スマートフォン然り。
今後キャッシュレスが普及するとどういう事が起こるかというと、ATMが無くなっていく。
ATMは、東京だと駅に1台はあるし、多いと複数台設置されている。コンビニにもある、銀行・郵便局にも当然存在する。当然、お金を引き出す人が多ければお金を補充しなければならない。警備会社の人間が二人一組重装備で現金の補充作業をする。これが何万台あるかわからないATMに対して行われている事である。一説によると、金融業界だけで年間数兆のコストがかかっていると言われている。
キャッシュレスが普及すれば、そうしたコストを削減できる。完全になくなることはないにせよ、公衆電話が消えてようにATMもやがて圧倒的に数を減らしていく事だろう。
そんな社会になったとき、現金しか使えないお店は生き残れない。

起きたことに人は注目するが、起きなかったことに気が付けない。
気づかぬ間に顧客が離れ、売上が落ち、そこから顧客を呼び戻そうと思っても遅いのである。

もしかしたら、今この瞬間、重大な事態が地殻変動のように進行しているのかもしれない。

(写真は登壇の様子:津南町商工会様にて)