【緊急特集!】中小企業のための、初めてのコロナ資金繰り対応③〜国・都道府県・市区町村:支援の3層構造〜

今回はお詫びから始めたい。
前回、「各機関に出向く前に電話で確認できることは事前に確認しておこう!」と書いたが…数時間電話をかけ続けてようやく出てもらえるような状態のようで、そもそも電話が繋がらないとのこと。しかし、同じような質問に対してはQ&Aページを用意されていることも多いので、まずはサイトを読み込むところから始めてみていただきたい。

支援の3層構造

さて、昨今の状況。
国の支援策も概ね固まってきており、早ければ4/22(水)に補正予算が成立の見通し。何もなければ、「予算成立を前提として」とパンフレットに記載がある部分が確定となる。ここらへんは与野党の綱引きと、与党内でもいろいろな力学が働いているようなので、何か大きく削られたり、あるいは追加される可能性もある。しっかりと結果を見守りたい。
また、無利子融資の話なども出ているが手続きが中小企業庁の公表待ちで、実はまだ具体的な進め方が見えていない話もある。

支援策も様々に情報が溢れそれらが日々変わっていく状況なので、この記事ではなるべく自分の頭で情報を整理できるように考え方を伝えたい。
これまで支援の3本柱として「融資」「保証」「補助金・助成金」を紹介したが、今回の記事では、さらに3層構造について説明する。「層」とは何かというと「国」「都道府県」「市区町村」レベルの3つの層である。

※この表はあくまで説明用の例で、これ以外の施策もあります。

「国」「都道府県」「市区町村」は別個のものでありつつ、三位一体となりながら相互に補完関係を構築している。「国」が幹、「都道府県」が枝、「市区町村」が葉のような関係である。新型コロナウィルス感染症に対する経済対策も、予算や法的根拠・スキームを国が設定し、都道府県レベルの各機関を経由して、市区町村や商工会・商工会議所、各種支援機関が実働を担うような流れになっている。また直接制度的な繋がりがない場合でも、足りない部分を相互に補完するような動きをすることも多い。

各支援策のレイヤー別の動き

①融資

例えば融資に関しては、大きな資本を用意しそれを運営するノウハウが必要なため、「政策金融公庫」や「商工中金」など国家レベルの機関が対応している。各都道府県では制度融資の形であっせん状の発行や利子の補給など事業者をサポートしている。
今回の新型コロナウィルス対応としては、例えば、東京都の「感染症対応緊急融資」などがあるが、市区町村のレベルでも利子の補助・補填をやっている場合もあるので、各市区町村のホームページを確認していただきたい。
流石に自治体が金融の機能を持つわけではないので、利子の一部など限られた予算の中で支援をする形になっている。

②保証

保証に関してスキームは一貫していて、日本信用保証協会が軸になっている。
信用保証協会は各都道府県に最低一つは窓口を持っていて、実働部隊としては都道府県別の信用保証協会が窓口を担当している。だが、「じゃぁ保証してください」とその窓口に行っても保証をしてくれるわけではなく、まずは市区町村の役所に行って「認定申請を貰ってきてね」と案内される。この認定書がないと保証はしてくれない。何故、市区町村が認定を行うのかというと、セーフティネット保証や危機対応保証が必要な理由を一番明確に把握しているのが市区町村だからである。今回の新型コロナウィルスは全国的な影響を与えているので分かりづらいが、例えばどこか大企業の工場が移転してしまった…のような地域の経済状況を把握しているのが市区町村であり、本当に保証が必要なのかを見極められるからである。
認定を受けるためには、過去数年の月単位の財務諸表や売上の低下が分かるものを持参する必要がある。まともな経理処理をしていなければそもそも難しいが、今回のコロナ対応に関しては緊急性を鑑みてかなり柔軟に(=言葉が悪いがほぼザルで)認定をしてくれるようだ。

ここからは余談になるが、実際信用保証協会に直接足を運ぶことは少なく、金融機関から斡旋されて認定申請を取り、あとは金融機関の方で信用保証協会に必要な書類を出してくれる流れとなる。金融機関からすると、信用保証が100%付くということはリスク0の融資が可能になるわけで、今回のコロナ騒動で一番元気になっているのが、実は銀行である。

③補助金・助成金

補助金・助成金は事業者にとっては返さなくて良いお金になるが、施策をうつ側からすると戻ってこないお金になる。よって、通常の補助金・助成金は資金余力のある「省」レベルの役所が企画をし、関係団体や商工団体が実働部隊となって運営される場合が多い。何にでも補助金・助成金を出すわけではなく、育成したい産業や雇用を守るなどの特定の目的に付与される場合が多い。(要するに直接戻ってこなくとも、産業や雇用を維持成長させることで税金となって還ってくることを期待していて、投資に近い。)

また、予算が付く範囲においては都道府県や市区町村レベルでも補助金・助成金が運営される場合もある。特に東京都は経済規模でも中堅国家くらい予算になるので、様々な補助金・助成金を運営している。今回のコロナ対策で言えば東京都産業労働局が「感染拡大防止協力金」という形で休業補償を行うような施策を打っている。

一個一個細かく紹介はできないので、都道府県別の施策に関しては「J-NET21新型コロナウィルス関連(都道府県別)」を参考にしていただきたい。

最後に

いかがだろうか?
国レベルの施策だけに目を奪われると本当はもっと有利な制度があったのに見落としてしまうので、一度は自分の事業所のある都道府県や市区町村のホームページも確認をしてみていただきたい。
市区町村は予算の額が小さいものの、その地域で何が一番必要なのかをわかっている事が多い。今回は資金繰りがテーマなので紹介から外したが、飲食店のランチマップなどを提供している自治体などもある。

難儀な状況である。
だが、一生懸命支えようとしている人もいる。
知り合いの診断士は、契約関係もないのに一度専門家派遣で見た企業に「大丈夫ですか?こういう制度があるのを知っていますか?」と1件1件電話して回っていた。各自治体の中の人も、各出先機関の人も書類を通すために寝ずに仕事をしている。医療機関の現場は推して知るべしだろう。

文句を言っても変えられない事は変えられない。また、待っていても大抵の場合は何も起こらない。まずは情報を集めることから始めよう。そして、今できることを一つ一つ見つめて進んで行こう。

【免責事項】
ここに掲載した情報は2020年4月19日時点の情報です。今後、情報が更新される可能性があることを予めお断りしておきます。また、政府の資金繰り対策は主に中小企業以下の規模の事業者に対するものであり、その条件にあてはまるかは別途確認が必要です。
本記事の内容をもとに何らかの損害が発生した場合でも補償等には一切応じられません。