「初めての不動産事業」の研究 【概要編】① ~何故、不動産事業なのか?~

年始に「士業として知っておきたい不動産の基礎知識」と言うセミナーを主催した。
実際に不動産を事業として成功させている知り合いの先生から個人的に色々とお話を聞きたかったと言うのがきっかけで開催したが、非常に有意義なセミナーとなった。

その後、知識を深めるべく色んな不動産関係の本を読み漁っていたが、新型コロナウィルス感染拡大に伴う情勢の変化もあって、しばらくその対応に追われていた。最近落ち着いてようやく不動産事業の研究の時間をとることができ、ある程度目処が付いたので、ノウハウを共有する意味で何回かテーマを分けて、記事化していこうと思う。

本来であれば、アパートやマンションを4〜5棟持って、安定的なキャッシュを生み出してくれるような状態になってから語るべきなのだろうが、まぁこうして全くの0(ゼロ)からスタートするところから書く事で、何に迷うのか、どこで躓(つまづ)くのかも、今後不動産事業を始めようと思っている経営者にとっては貴重な情報になるだろう。

借り入れリスクの捉え方

ところで、不動産の世界は正直評判のいい業界ではない。昔なら「地上げ」や「土地転がし」、近年ではスルガ銀行の不正融資などマスコミを賑わせたのが記憶に新しい。(スルガ銀行の事件がどう言うスキームで行われたのかは、いずれ機会があれば触れたい。)海千山千の不動産業者に手玉に取られて、ケツの毛まで抜かれるようなそんなイメージもある。
また、まともな取引を行ったとしても、扱う金額が大きく、基本は借入金に頼ることになるためリスクが非常に大きいようにも見える。

借金は怖いと言うが、そもそも、何をリスクと捉えるのかにもよる。
一般のサラリーマンは持ち家を購入する時にローンを組むのは厭わない。逆に甲斐性くらいに思う人も多い。ローンは家だけではない。自動車ローンと自動車保険とその維持費などもある。また、ローンではないが定期的にキャッシュアウトしていく生命保険、損害保険、子供の学費なども合わせると毎月かなり出費が存在する。これは、かなりリスクの高い状態ではないだろうか?

何故なら、自分が働けなくなったら即生活が破綻する危険があるからだ。一時的な怪我や疾病に関しては保険によりリスクヘッジをしていくのだろうが、前提としては自分が働いて生み出す事が、ローンを返済し、生活を維持するための唯一の手段となる。少し意地の悪い捉え方にもなるが、家のローンを組むということは、いわゆる「普通の幸せ」を維持するために、会社を辞めることができなくなり、気づけば馬車馬のように働く以外の選択肢がなくなるとも言えるだろう。

一方、不動産事業で収益物件を保有した場合は、自分が働いて返す訳ではない。住居を提供した代わりに家賃を頂く事で借金を返済する。ビジネスとして回るよう設計できれば、自動的に借入金は減っていくことになる。

借金にリスクがあると言うのは間違いないが、持ち家のローンはリスクが低くて、収益物件を購入するための借金はリスクが高いと言う理屈はない。
むしろ、持ち家のためにする借金の方がリスクが高いとすら言えるだろう。

何故、不動産事業なのか?

だからと言って、全員が全員不動産事業を始めましょう〜と言うつもりはない。

自分の体は自分がコントロールできるが、他人はコントロールできない。
空室が埋まらなければどうするのか。空室が埋まっても、家賃を払ってくれなかったらどうするのか?自殺や孤独死があった場合はどうするのか?地震や洪水などで、一瞬のうちに資産が消えたらどうするのか?身の丈にあった借金であれば自分が頑張ればいいが、自分が働いても返せないほどの借り入れをする事にリスクを感じるのは健全な感覚だと言えるだろう。

個人的な話になるが、経営コンサルタントとして独立し、会社も立てているがその実態としては1人会社である。そんな中で自分が働かなくなったら破綻するようなビジネスに、職業柄矛盾を感じる。また、純粋に起こしたい事業もある。そのために経営基盤の確立&強化していく必要がある。
その手段の一つとして、不動産という事業を研究してみたい、可能なら小さい物件からでも購入して、実践してみたい。そう言うところで、実際にやってみたことをレポートも含めてお伝えして行こうと思う。

今回、不動産事業を様々な角度から研究したが、不動産をビジネスとして捉えた時には、ビジネスモデルが確立していて、収益も非常に安定的な特徴を持っている。もっと言えば、ビジネスモデルを理解し、正しく設計できれば、新参者でも比較的参入しやすい業界とも言える。
起業する時資金が必要なのはどの業界も一緒だが、通常どの業界でも経験がない人間に融資することはまず無い。飲食業界でも厳しい。しかし、不動産業界だけは何故か、それが許されている。許されるどころか、土地を持っているだけで逆にアパートオーナーを勧められるくらいのこともある。
逆に言うと、成功するかは別として、不動産事業というのは土地か資金があれば参入できる業界と言えるだろう。
もちろん、参入しただけでは意味はない。成功するための研究と実践をしていこう。

とは言え、何故今なのか?と言う疑問はあるだろう。
率直に言って、不動産業界の商況はかなり悪いのだが、それはまた次回の記事にしたい。