【緊急特集!】中小企業のための、初めてのコロナ資金繰り対応②〜主に持続化給付金〜

この記事では制度の詳しい解説よりも、物事の捉え方や情報の読み解き方に軸足を置きたい。最終的に情報を精査し、意思決定するのは経営者の仕事であるからだ。

前回の振り返りだが、新型コロナウィルス感染拡大に対する国の施策は「融資」「保証」「補助金」の3本柱があると解説した。
そこは変わらないが、ここ1週間でまた大きく動きが2つあった。

  • 1つは「税・社会保険」に関する施策が加わった点。
  • もう1つは「持続化給付金」が新設された点である。

詳しくは、前回のブログで紹介したとおり、経済産業省 「新型コロナウイルス感染症関連」の、支援策パンフレットをご確認いただきたい。
前回は、4/2(木)版を元に記事を書いていたが、現在は4/8(水)版に更新されている。

「税・社会保険」の施策のポイントは猶予や軽減の措置が取られている事と、所轄官庁に対して事前に申告する必要がある点。待っていても自動的には猶予や軽減はしてくれないので、そこは注意が必要だ。

「持続化給付金」に関しては次のセクションでまとめよう。

持続化給付金

まずお断りから入るが、「持続化給付金」は令和2年補正予算の成立を前提としており、内容が変更される場合もある。補正予算は4/24(金)に成立の見込みとなっている。
詳しくは 経産省HP >「持続化給付金に関するよくあるお問合せ」を確認のこと。

この給付金は3本柱に分類すれば「補助金・助成金」に近い。要は返さなくていいお金である。しかも、持続化給付金だけで「総額6兆円を超える現金給付」を予定している。防衛関連費用が5兆円前後で推移するなかで、政府の本気度が見られる。

さて、中身はパンフレットの内容をそのまま転載になるが、

給付対象者 中堅企業、中小企業、小規模事業者、フリーランスを含む個人事業者等、その他各種法人等で、新型コロナウイルス感染症の影響により、売上が前年同月比で50%以上減少している者
給付額 前年の総売上(事業収入)— (前年同月比▲50%月の売上×12ヶ月)

※上記の算出方法により、 法人は200万円以内、個人事業者等は100万円以内を支給。

となっている。

給付額の式が若干分かりづらいので例を上げてみよう。

パターン① 売上が前年同月比 ▲40%減

2019年総売上 400万円
2019年3月売上 50万円
2020年3月売上 30万円(※前年同月比40%減少)

この場合は、前年同月比40%減少にしかならないので対象外

 

パターン② 売上が前年同月比 ▲60%減

2019年総売上 400万円
2019年3月売上 50万円
2020年3月売上 20万円(※前年同月比60%減少)

3月の売上が前年同月比と比べて50%以上減少しているので対象
前年の総売上(事業収入)— (前年同月比▲50%月の売上×12ヶ月) なので、

400万円 – (20万円×12ヶ月) = 160万円

この時法人の場合は、上限値200万円を超えていないので160万円の支給。
個人事業主なら上限値を超えているので100万円の現金給付が受けられる計算になる。

例では3月を対象にしているが、一番影響を受けた月で計算すればいい。
計算式をそのまま読み取ると、前年「度」ではなく「前年」と書いていることから、12月締め1月始まりでなければ、期またがりが発生するので注意が必要。

申し込み方法は、電子申請もでき、なるべく外出せずに給付を受けられるようにするとのこと。(もちろん対面でも可能。)給付は、申請から最短7日、14日平均を目指すそうだ。
通常、補助金の制度というのは公平性を担保するために、その分補助金に回してくれと思うくらい手続きや費用・時間がかかる場合が多い。本当にそれだけの金額を受領できるのか、今後どんな条件が付与されるかわからないが、もしこのままいくのであれば、多少の不公平には目をつむってでも、資金の流動性を重視したと言えるだろう。

相談窓口利用のポイント

さて、今日はもう1点。
新型コロナウィルスの感染拡大に伴う経済対策について、相談窓口の利用の仕方に関しても少しだけ触れておこう。
まず、窓口がどこにあるかについては、経産省HP に掲載があるのでそちらを参考にしていただきたい。

3本柱別に記載すると、

  • 融資に関しては、日本政策金融公庫か商工中金
  • 保証に関しては、日本保証協会か、取引先金融機関
  • それ以外、もしくは全般的な事は、商工会・商工会議所、よろず支援拠点

あたりが良いだろう。別に違っていても案内はしてくれるので、間違うことよりも進むことに注視しよう。

特に行く場合は、法人の場合は2019年〜20年の決算書、個人事業主の場合は確定申告書類などを持っていくといいだろう。まだまとめていなくても、直近どれくらい売上に影響があったかが月別にわかる資料も持参しよう。資本金、従業員数など事業規模も伝えられるようにしておきたい。

その上で

  • 何が利用できるか?対象になっているか?
  • 融資が必要であれば、金利・額・返済期間はどうなっているのか?金利の補填制度・減免措置がないか?
  • 信用保証協会を利用するのであれば、保証料率やその減免措置がないか?(都道府県別の対応がないか?)
  • 融資や保証が実行されるまでのリードタイムはどれくらいか?
  • 手続きの手順

などを確認しにいこう。

あと、施策も1日毎に変わってきているので、窓口に立った相談員が実はすべてを知らない事もある。経産省HPを絶えず確認しつつ、制度の実務近い組織に直接問い合わせするのが早道となる。
また、この折なので電話などで先に疑問点を潰すことができるのであれば、訪問の前にできるだけ疑問点を潰しておこう。

本日はここまで。
今、大変な思いをしている事業者さんも多いと思うが、是非負けずに頑張ってほしい。

 

【免責事項】
ここに掲載した情報は2020年4月12日時点の情報です。今後、情報が更新される可能性があることを予めお断りしておきます。また、政府の資金繰り対策は主に中小企業以下の規模の事業者に対するものであり、その条件にあてはまるかは別途確認が必要です。
本記事の内容をもとに何らかの損害が発生した場合でも補償等には一切応じられません。