WEB集客をする前に考えておかなければいけない事①〜打ち手は一番最後に考える〜

少し時間が経ってしまったが、
経営者の視点でWEB集客する方法を今更ながらにざっくり確認する<その1><その2>
の続きとなる。

コンセプトを明確化する

WEBを通じて集客をする場合、Facebook広告が効果があるとか、動画がいいとか、今ならInstagramやTikTokなどすぐに新しい手段に飛びつくが、大抵の場合上手くいかない。マーケティングの世界にはある種天才的なイノベータのような人々が存在するが、ほとんどの人はそこまで感度も良くないし、エネルギーも足りないので通常真似をするべきではない。

大体において、WEB集客が失敗する理由は、手段から入って集客のコンセプトが甘いことに起因する場合が多い。

「コンセプト」なんて横文字を使って恐縮だが、特段抽象的な話をしたいわけでは無く、抑えるべきポイントは明確である。

つまり、

  1.  (目的)なぜ、集客したいのか?
  2.  (誰)誰に対して伝えたいのか?
  3.  (何)どんなことを伝えたいのか?

を明確にする。最終的に抑えるのは5W1Hなのだが、「いつ」「どこで」「どのように」は①~③を押さえると自然と決まってくる場合が多い。ここで重要なのは、「どのように」(=打ち手)から入らないことだ。打ち手とは例えばブログとか動画とかツイッターとか、そういった手段(メディア)の事だ。

(目的)なぜ、集客したいのか?

以前、ある声楽グループの宣伝を相談されたことがあった。

動画を使ってアカペラの配信をしたいので動画マーケティングについて教えてほしいとのオーダーだった。マーケティング戦略に関しては仲間内で議論しつくしたと言っていたので、そもそも何のためにそれをやるのかという質問をしたところメンバーそれぞれでやりたいことが全く統一されていない状態だった。

「コンサートに集客したい」「音楽教室に人を呼び込みたい」「自分たちの技術の高さを証明して、コンサートに呼ばれたい」「有名な演奏家とコラボして、知名度を上げたい」との事だった。これらをすべて叶える点で動画が最も効果的だから、動画マーケティングを教えてほしいとの事だった。

ありがちなのは、「知名度が上がれば集客できる」、「集客できれば売上が上がる」という思い込みである。
単純に知名度が上がってもお客として来てくれるとは限らないし、集客できてもお金を使ってくれるとは限らない。そして、知名度を上げるためにやるべきことと、集客するためにやるべきことは違うし、ましてや売上にまでつなげるためにはいくつもの越えなければいけないハードルがあるのである。

(誰)誰に対して伝えたいのか?

ターゲットも曖昧である。

「コンサートに集客したい」と一言で言っても男性なのか女性なのか、どういった年代のどういった趣向を持つ人なのか?地域のママさんたちなのか、学校つながりの生徒の親なのか、だれに対して伝えるかも全く見えてこない。声楽グループの中では顧客の顔が思い浮かんでいるのかもしれないが、全員が同じ属性ではない筈なので、その中でだれを重視するかなどをしっかりと意識合わせをしておく必要がある。

また、「コンサートに呼ばれたい」のであれば、プロデューサーや企画者がターゲットになるが、じゃぁそれが誰なのか顔を思い浮かべられるところまで落とし込んでみよう。もし周りにいるその人を口説けないようなら、顔も知らない赤の他人が声をかけてくれるわけでもないからだ。

(何)どんなことを伝えたいのか?

何を伝えたいかも、目的が曖昧だとブレてくる部分である。

「コンサートに集客したい」のなら行きたくなるようなストーリーが必要かもしれない。
「音楽教室に人を呼び込みたい」のであれば、音の質よりも実際に教室で教えている風景や喜びの声などが有効かもしれない。
「コンサートに呼ばれたい」のであれば、技術力だけでなく、実績や経歴や、一緒にやった人の推薦の声などが重要かもしれない。

打ち手は一番最後に考える

結局、「何のために」、「だれに」、「何を伝えたい」をはっきりさせてくると「いつ」「どこで」「どのように」が定まってくる。

例えば

「(声楽)コンサートに集客するために(=目的)」
「子育ての終わった夫婦に(=誰に)」
「歌うことの楽しさを伝えたい(=何を)」

のであれば、

「例えば11月くらいに(=いつ)」
「Twitterで(=どこで)」
「第九のアカペラ動画URLを上げる(=どのように)」

のが有効かもしれない。

一方、

「声楽教室の生徒を募集するために(=目的)」
「小学校低学年の習い事を探しているお母さん向けに(=誰)」
「無料体験教室を宣伝したい(=何を)」

のであれば、

「新学期に合わせて2~3月に(=いつ)」
「児童会館の掲示板や自社HPで(=どこで)」
「写メやプリントアウトで無料になるチケットを配布する(=どのように)」

のが良いだろう。

ここで上げたのはあくまでも例なので前半を受けた後半の打ち手が正しいとは限らないが、いずれにせよまずはコンセプト(「目的」「誰に」「何を」)を定めることが重要になる。そのうえで、それを動画でやるのか、Twitterでやるのか、Facebookでやるのがいいのか、などが明らかになってくるのである。

打ち手は一番最後に考えるのである。