Oculus Go 雑感 〜VR動画の発展は自由視点映像システムが握る!?〜

「Oculus Go」購入。

「Oculus Go」はオールインワンVRヘッドセットで、今までのVRヘッドセットが携帯電話を差し込んだり、別のマシンとケーブルで繋げなければいけなかったりする中で、それ単体で動作する優れものである。価格は32GB版で23,800円、64GBで29,800円とVRヘッドセットの中ではかなり安価な価格設定となっている。

中身はAndroidが入っていて、普通にYouTube動画なども見ることが可能。

使い方としては、携帯電話と同じくホーム画面にアプリをダンロードして、ダウンロードしたアプリでVR動画を視聴したり、ゲームを楽しんだりする事ができる。

初体験

設定は10分で終わるが、充電に時間食う。充電の減りは若干早い。

いろいろコンテンツ試すとやはりかなりの没入感で、コンテンツが自分に合えばかなり面白い。

戦闘機の編隊組んで飛ぶものとかは周りの飛行機が近すぎて怖い。空気の層とか気流の乱れとかで微妙に横の機体がブレるのがわかる。ちょっと間違えば、貰い事故なりそうで、パイロット頭がおかしいんじゃないかと。
あとは面白いと思ったのは、単にスキーを滑り降りるだけの映像。それだけなのだが、真っ青な空と真っ白な雪原を緩やかに滑っていくのが最高に気持ちいい。

いわゆる、VRの特集でよくあるタイプの動画・・・スカイダイビング、スキューバダイビング、ドローン空撮みたいなものに関しては、気持ちいいが、1回見ればふ〜んと思うくらいの感じで終わってしまった。ジェットコースター映像はCG版も実写版もあるが、個人的にはVR酔いして気持ち悪くなった。
個人的には下手に演出が入っている映像よりもシンプルに自然を写してくれていた方が好みだった。
全体的に画質が低かったり、ポリゴンぽくなるコンテンツもあり、慣れてくると少し気になる。

また、案外2D映像を大画面で観るのが結構オススメである。Oculus Goの場合、スピーカー内蔵でヘッドホンする必要もなく、臨場感が劇場で観ているのと変わりはない。

VR動画の発展は自由視点映像システムが握る

実は、ダンス動画などが好きで、Marquese ScottさんとかWorld Orderの映像はよく動画サイトで視聴している。The Chemical Brothers 「Wide Open」というMVのダンス動画は、こんな美しいダンスと映像があるのかと思えるくらい大好きで、何百回みたかわからないくらいである。

さすがにこういった作品のそのまんまのVR作品はまだないが、ダンス映像に関してはかなり面白い。それが本当に数十センチの距離で、ダンサーの息遣いとか筋肉の緊張と弛緩が伝わってくる。自分のすぐ前で踊ってくれるような感覚を提供してくれるのである。

人の動きを捉える視点としてVR動画が今後一番発展するではないだろうか?

今ちょうどやっている、ラグビーワールドカップでもキヤノンが「自由視点映像生成システム」を使ってこれまでにない映像を作り出している。

詳しくはキヤノンのサイトを参照していただきたいが、競技場を360度カメラで取り囲み、撮影した内容を解析して3Dに再モデリングした映像である。正確には実写映像ではなく、TVゲームのようにキャラクターを動かしていることになるのだが、「自由視点映像生成システム」というだけあって、それこそどんな視点からも映像を再構築する事ができるのである。

多分、こうした映像をVRで見る事ができるようになれば、例えば野球ではダルビッシュの真横に座ってゲームを眺めたり、サッカーもメッシのドリブルを相手ディフェンダーの位置に立って眺めることもできるようになる筈である。

これは凄い時代が来たのかもしれない。

VR動画は黎明期を脱して、本格的に市場を広げるつつある。
ゲームや成人向けコンテンツ、スポーツ映像といったところでかなり広がっていくのではないだろうか?

今後のVR動画市場の脆弱性

ただ、脆弱な部分もあるのも確かだ。

一つは、いくら簡単になったからといってやはり負担はある。
ZoZoスーツがあそこまで優れた発想とビジネスモデルなのにイマイチ普及しなかった原因は、「着るのが面倒臭いから」だそうだ。また、スマホでアプリを起動して計測するところまで行き着けない人も続出したそうである。
VRも被ってボタンを押すだけなのだが、その前のちょっとしたWiFi設定とかを独力でやれない人も多いかもしれない。
また、ヘッドセットをかぶると女性は髪型が崩れるので、男性よりも使いにくい点はあるだろう。
そういう意味で女性をどう取り込めるかが大きな課題となるだろう。

もう一つ、体験の共有が出来ない点も気になる所だ。
要はヘッドセットを被るとその映像を見ているのは自分1人でしかない。
TVや映画の優れたところはその時間を家族や知人と共有できるところだ。
また、今の時代共感をシェアするというのがメディアとしての成功のセオリーだが、VRは過大な情報量を受信するのには優れたツールだが、何かを発信するには非常に不向きである。もちろんキーボードなどを利用することもできるが、基本的に手元が見えるわけではない。また、その感動をインスタグラムのように手軽に共有する手段がない。

ここら辺は将来的には、自分の3Dモデルを出現させて、あたかも同じ空間にいるかのように会議などができるようになるかもしれないが、携帯やパソコンのようにお互いが同じシステムを持っていないと実現できないのでしばらくは難しいかもしれない。

とはいえ、個人的にはかなり面白いおもちゃを手に入れたので、しばらくは夜な夜なヘッドセットを被って遊んでいこうと思う。

今回は、Oculus Goのレビューでした。