IT補助金2019 雑感


IT補助金の公募はもう開始されているので、遅きに失した感もあるが「IT補助金2019」の雑感を少し。

  建て付け

持続化補助金のところでも書いたが、政府は「平成30年度第2次補正予算 中小企業生産性革命推進事業」の一環として1100億円の予算を組んでおり、この中で「持続化補助金」「モノづくり補助金」「IT補助金」に予算を配分し、中小企業の生産性の底上げを目指している。これは少子高齢化に対する対策でもあり、人が手を動かさないでもできることは機械やシステムに任せようと言うことだ。
この中で前2者は昨年と建て付けはほとんど変わらなかったのに対し、IT補助金は大きく変更された。
生産性向上をはかるという目的で言えば、「小規模事業者 持続化補助金」「モノづくり補助金」でも同じなのでIT導入を目指す申請が多かったが、そこらへんの切り分けをハッキリさせたのが、2019年の「IT補助金」である。
詳しくは、「IT補助金2019」サイトの「はじめに」を見ていただきたいが、ざっくり言うとIT化が全くされていない小規模事業者向けにHPを作るなどには「持続化補助金」を使い、ある程度IT化は進んでいるが業務をより効率化するための中規模の投資が「IT補助金」、それ以上の大規模設備投資が「モノづくり補助金」となっている。

もっと大胆に丸めてしまえば、「IT補助金」は業務系パッケージソフト(=ITツール)を導入する為の補助金と言っていい。
(だから、HPの制作には使えないし、スクラッチ開発も対象外。)

特色

この補助金の特色は、IT導入支援事業者(要はITツールを売る会社)と補助事業者(要は中小企業)がパートナーシップを組んで進めるところにある。

  1. まずは、IT導入支援事業者が自社で保有するITツールを登録する。
  2. 補助事業者(中小企業)は、自分の会社の業務を効率化してくれそうなITツールを持っているところに、これ使いたいんだけどとお願いする。
  3. そして、IT導入支援事業者を通して、補助金の申請をしてくれると言うそんな流れである。

ただ、IT導入は単体のITツールを購入すれば業務効率化が計れる訳ではなく、導入に伴う業務フロー再構築などが必要な場合があり、役務としてシステム導入する上でコンサルティングが必要な場合がある。また、自社のツールだけではカバーできる範囲が少ない場合は他の会社と併せて支援したい場合もある。
そうした場合はコンソーシアム形式で複数社でIT導入支援事業を行う場合もある。

また、今年から類型が分かれた。

A類型    40万~150万円未満
B類型    150万~450万円
補助率   1/2以下

類型は、導入するシステムの規模と範囲の大きさの違いでしかなく、「プロセス」と呼ばれる業務の数や範囲によって変わってくる。ここら辺も要件が細かいが、実態を良く分析をしている。

雑感

さて、今回公募内容を読んでいて一番面白かったのは、あらゆる申請や状態の管理をサイト上で完結しようとしているところだ。実際全部サイト上で完結できているかはわからないが、「持続化補助金」や「モノづくり補助金」の申請は全て紙である。しかも審査員のために複数部用意しなければいけなかったりする。誤植があったら差し替えたりと、地味に一日がかりの作業だったりする。

「中小企業生産性革命推進事業」を唄っている政府が、何万社も申請してくる補助金の業務を未だ紙でやらせているのである。

ここら辺がやはりお役人の仕事を感じてしまう部分だが、流石に「IT補助金」は一歩先へ行こうとする気概を感じた。しかも申請の途中では、中小事業者が経営診断をするような工夫もしてあり、非常に良く設計されている。
願わくばこの動きを「持続化補助金」や「モノづくり補助金」や他の補助金にも広げていってもらいたいものである。